オフィシャルブログ

月別アーカイブ: 2025年6月

リフォーム・建替え時こそ要注意!地盤リスク診断ガイド

皆さん、こんにちは!
千代田技建株式会社、ブログ更新担当の岡です。

前回は「ICTとAIで変わる地盤モニタリング最前線」をテーマに、最新技術で地盤を“見える化”するメリットをご紹介しました。
今回は 「リフォーム・建替え時こそ要注意!地盤リスク診断ガイド」 と題し、既存住宅を手直ししたり建替えたりする際に見落としがちな地盤のポイントを解説します。 “新築よりリスクが読みにくい”タイミングだからこそ、しっかりチェックして安全・安心な住まいづくりを目指しましょう!


1.リフォーム・建替えで地盤リスクが高まる理由

  1. 建物荷重が変わる

    • 2階を増築、太陽光パネルや蓄電池を追加すると、基礎にかかる荷重が増加。

  2. 古い地盤データしか無い

    • 20〜30年前は十分だった調査精度が、現在の基準では不足しているケースが多い。

  3. 地盤が経年変化している

    • 地下水位の変動や周辺開発の影響で、当時より支持力が下がっている可能性も。


2.計画前に押さえたい“3ステップ診断”

ステップ① 書類チェック

  • 竣工図・地盤調査報告書・確認申請図面を収集

  • 対象は 建築時期/基礎種類/地盤改良履歴 の3点

ステップ② 現地目視

  • 外壁・基礎に大きなクラックはないか

  • 室内ドアやサッシの建て付け不良、床なりの有無

  • 雨どい・排水枡の詰まりや敷地の水溜まり

ステップ③ 追加の地盤調査

目的 推奨調査方法 費用目安
軟弱層の有無を再確認 スウェーデン式サウンディング 5〜15万円
地下水位・土質を詳細把握 ボーリング調査+簡易土試験 30万円〜
広範囲を短期で確認 表面波探査 10〜20万円

3.リフォーム内容別 地盤・基礎対策のポイント

① 2階増築・屋根上設備の追加

  • 荷重増分を構造計算し、布基礎ならベタ基礎への打ち換えや鋼製束補強を検討

  • 必要に応じ 柱状改良 等で基礎下の支持力を底上げ

② 耐震改修・間取り大変更

  • 間仕切り撤去で 上下荷重バランス が変わる→不同沈下リスクに注意

  • 筋交いや耐力壁を追加する場合、基礎梁への アンカー打設 が必須

③ 建替え(既存基礎の撤去)

  • 旧家屋の解体で 地盤が再攪拌 される → 表層改良や再転圧で再締固め

  • 擁壁・土留めを残す場合は 劣化診断背面排水 の再整備を忘れずに


4.補助制度・減税を活用しよう

  • 長期優良住宅リフォーム補助金
    地盤調査費や基礎補強費が対象になるケースあり。

  • 自治体の液状化対策助成
    ハザード指定区域では改良費の1/3〜1/2補助例も。

  • 住宅ローン金利優遇
    耐震+地盤対策で適合証明を得ると、フラット35S 等が利用可能。


5.チェックリスト:工事前に確認すべき10項目

  1. □ 既存地盤調査データの有無と内容

  2. □ 追加調査の範囲・方法・費用

  3. □ 基礎種類(布・ベタ・独立・杭)の再評価

  4. □ 荷重増加分の構造計算書

  5. □ 改良工法の選定理由と保証内容

  6. □ 工事中の第三者検査体制

  7. □ 工事後の保証期間と補償限度額

  8. □ 補助金・減税制度の申請スケジュール

  9. □ 近隣への説明と振動・騒音対策
    10.□ 完了後の定期点検計画(1年・5年・10年)


まとめ

リフォームや建替えは「完成後の快適さ」だけでなく、見えない地盤の安全性を再確認する絶好の機会です。

  • 古いデータを鵜呑みにせず、追加調査で現在の地盤状態を把握

  • 計画段階から荷重増分と基礎補強をセットで検討

  • 補助制度を活用して費用を抑えつつ、保証と点検体制を確保

千代田技建では、診断→調査→設計→補強→保証までワンストップでサポートしています。リフォーム・建替えをご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください!


次回予告

次回は 「徹底比較!主要地盤改良工法のコストと環境性能」 をテーマに、セメント系・脱セメント系・深層混合・柱状改良など、それぞれのメリット・デメリットを分かりやすく解説します。お楽しみに!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
地盤・基礎のことなら千代田技建までどうぞ!

ICTとAIで変わる地盤モニタリング最前線

皆さん、こんにちは!
千代田技建株式会社、ブログ更新担当の岡です。

前回は「気候変動時代の地盤リスク」をテーマに、豪雨・台風・猛暑が地盤へ与える影響と対策をお伝えしました。
今回は、少し難しい内容ですが、 「ICTとAIで変わる地盤モニタリング最前線」 をテーマに、最新技術が地盤管理にもたらす革新と、その導入ポイントを解説します。リアルタイム監視が当たり前になるこれからの時代、ぜひ参考にしてください!


1.なぜ“常時モニタリング”が必要なのか

  • 予測困難な極端気象
    近年は数時間で想定雨量を超える集中豪雨が発生し、地盤状態が短時間で急激に変化。

  • 構造物の長寿命化
    社会インフラや住宅を100年使用する時代へ。点検回数・範囲を増やす従来手法は限界。

  • 働き方改革と人手不足
    技術者の高齢化や若手不足で、現場巡回に頼った管理は持続しにくい。

結論:IoTセンサーとAI解析による「遠隔・自動・連続監視」が、コスト・安全の両面で必須になりつつあります。


2.主要テクノロジー早わかり

① IoTセンシング

  • 傾斜センサー:1/1000 ラジアン単位の微細な傾き変化を常時検知

  • 水位・水圧センサー:地下水の急上昇をアラート

  • 伸縮計・歪みゲージ:擁壁や橋脚のひずみを数µεで測定

② 無線通信・クラウド

  • LPWA(LoRaWAN等):遠距離・低消費電力で山間部の法面監視に最適

  • 5G/ローカル5G:高帯域で高精細動画やLiDARデータをリアルタイム送信

  • クラウドダッシュボード:ブラウザで複数現場を一括監視、履歴グラフ&アラーム設定が可能

③ 空間計測

  • ドローン写真測量:毎週・毎月の空撮で斜面形状を3D点群比較

  • 衛星InSAR:地表面の沈降や隆起を広域(数 cm 精度)で把握

  • 地上型3D LiDAR:構造物の微小変位をミリ単位で抽出

④ AI解析

  • 異常検知モデル:センサー系列データからパターン逸脱を自動判定

  • 地盤挙動シミュレーション:デジタルツインで将来沈下を確率予測

  • 画像AI:ドローン映像からクラックや土砂流出を自動検出


3.導入事例で見る効果

  1. 物流倉庫 × 柱状改良体モニタリング

    • 傾斜センサー100台を床下に配置し沈下を常時計測

    • “閾値超え”アラートで早期補修を行い、修繕コストを70%削減

  2. 地方自治体 × 斜面崩壊予兆監視

    • LPWA水圧センサー+太陽光電源で無人化

    • 警戒雨量下での避難判断を“平均3時間”前倒しし人的被害ゼロを達成

  3. 都市地下鉄 × AI InSAR解析

    • 衛星データを毎週自動取得、路線直上の沈降トレンドを色分け表示

    • 点検対象区間を従来の10分の1に絞り込み、保守コストを大幅圧縮


4.導入ステップとチェックリスト

  1. 目的の明確化

    • 沈下防止? 斜面崩壊検知? インフラ健全度?

  2. 必要センサー・計測密度の選定

    • 点在監視か面監視かで機材もコストも大きく変動

  3. 通信インフラの確保

    • 市街地:LTE/5G  山間部:LPWA+衛星バックアップ

  4. クラウド・AIプラットフォーム設定

    • 可視化ダッシュボード、通知ルール、ユーザー権限を整備

  5. 運用・保守体制の整備

    • センサー校正スケジュール、バッテリー交換計画、異常時の対応フローを明文化


5.コストと投資効果

  • 初期投資:戸建住宅数十万円/大型施設数百万円〜

  • 運用費:通信+クラウドで月数千円〜

  • 経済効果

    • 早期予兆検知による修繕費削減

    • 災害休業・交通遮断の損失回避

    • 保険料・金利優遇(リスク低減証明による)


6.これからの展望

  • エッジAI:現場デバイス内で推論し、通信量と遅延を大幅削減

  • 自律ドローンによる定期パトロール:人手ゼロの斜面点検が実用段階へ

  • 自己診断型センサー:故障検知&遠隔リブートでメンテンス負荷を最小化

  • デジタルツイン×BIM連携:建物模型と地盤モデルを一体化し、リフォーム・増築時の影響を即時シミュレーション


まとめ

ICTとAIを活用した地盤モニタリングは、

  • 予兆をつかみ被害を最小化

  • 点検効率を上げコストを削減

  • 投資対効果を数値で証明

できる時代へと進化しています。千代田技建では、機器選定からクラウド構築、AI解析までトータルでご提案可能です。ぜひお気軽にご相談ください!


次回予告

次回は 「リフォーム・建替え時こそ要注意!地盤リスク診断ガイド」 をテーマに、既存住宅の改修や建替えの際に見落としがちな地盤ポイントを詳しく解説します。どうぞお楽しみに!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
地盤・基礎に関するご質問は、千代田技建までお気軽にどうぞ。