
皆さん、こんにちは!
千代田技建株式会社、ブログ更新担当の岡です。
前回は「地盤保証と保険の活用術」で、“万一”に備える安心プランをご紹介しました。
今回はシリーズ第 ○回として、「気候変動時代の地盤リスク ― 大雨・台風・猛暑への備え」 をテーマにお届けします。近年は極端気象が常態化し、従来よりも多角的な地盤対策が求められています。住宅や施設を長く安全に守るため、最新の知見と実践的な備えを確認しておきましょう。
集中豪雨・線状降水帯の頻発
短時間で月間雨量を超える豪雨が発生し、表層崩壊や液状化リスクが急上昇。
大型台風の長寿命化
暴風と長雨のダブルパンチで斜面すべり・宅地擁壁の破損事例が増加。
猛暑・干ばつの影響
粘土質地盤の乾燥収縮による不同沈下、舗装の熱膨張ひび割れが顕在化。
ポイント
同じ地域・同じ敷地でも、季節や年によって「過剰な水」と「極端な乾燥」の両方に晒されるのが現在のリスク構図です。
飽和浸透 → 土粒子の結合力低下
地下水位上昇 → 浮力増大で支持力ダウン
供試体排水不全 → 斜面内部に間隙水圧が滞留
表層土の洗堀
擁壁背面への浸水 → 土圧急増
強風振動 → 緩んだ地盤のせん断破壊誘発
粘土の乾燥収縮 → ひび割れネットワーク形成
反復収縮膨張 → 基礎周縁で段差沈下
熱応力集中 → コンクリートクラック進行
リスク | 早期対策 | 備え・設備改修 |
---|---|---|
豪雨・長雨 | ◎雨どい・側溝を常時清掃 | 透水・排水性改良材による表層改良 |
台風 | ◎擁壁背面の排水パイプ点検 | アンカー補強+法面緑化で土留め強化 |
猛暑・干ばつ | ◎基礎周りの日陰・散水 | ひび割れ封止材注入、遮熱塗装 |
上流側の流入水マネジメント
隣地・道路からの越流水を防ぐ溝切りや集水桝増設が効果的です。
グリーンインフラの活用
雨庭(レインガーデン)や多孔質舗装を敷地に組み込み、雨水を一時貯留して流出ピークを緩和。
水位センシング×クラウド通知
浅井戸に設置したIoT水位計で地下水の急上昇を監視し、異常時にはスマホへアラート。
AI降雨予測と土砂災害シミュレーション
気象庁の高解像度データを機械学習に組み込み、ピンポイントで崩壊確率を推定。
脱セメント型改良材
バイオ炭・石灰副産物を混合した低CO₂ 固化材が、環境配慮と透水性向上を同時実現。
□ 雨どい・排水マスは詰まっていないか
□ 擁壁背面に水抜き穴はあるか/塞がれていないか
□ 基礎外周に“パキッ”とした新しいクラックはないか
□ 床下換気口や基礎パッキンが土で埋もれていないか
□ 猛暑期に庭土が大きくひび割れていないか
異常を発見したら
早期に専門会社へ相談し、簡易計測(レーザー水平器・傾斜計)で数値化することが重要です。
気候変動に伴う極端気象は、これまで安全とされてきた土地にも新たな地盤リスクをもたらします。
予防保全:排水・換気・日常点検で“小さな兆候”を見逃さない
構造的対策:表層改良・法面補強・ひび割れ補修を適切なタイミングで導入
デジタル監視:IoTセンシングとAIシミュレーションで早期警戒網を構築
千代田技建では、豪雨・猛暑両方に対応した「ハイブリッド地盤対策パッケージ」をご提案しています。ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
次回は 「ICTとAIで変わる地盤モニタリング最前線」 をテーマに、ドローン測量・クラウド点検・デジタルツイン活用事例を深掘りします。どうぞお楽しみに!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
地盤・基礎に関するご相談は、千代田技建までお気軽にどうぞ。
皆さん、こんにちは!
千代田技建株式会社、ブログ更新担当の岡です。
前回は「地盤と基礎にまつわるQ&A」で、これまでお寄せいただいた疑問にお答えしました。
今回は 「地盤保証と保険の活用術 ― 万一に備える安心プラン」 をテーマに、家づくりや中古住宅購入後に“もしものトラブル”が発生したときの備え方を分かりやすく解説します。
概要
新築住宅の着工前に地盤調査を行い、必要に応じて改良工事を実施したうえで、完成後に不同沈下などの不具合が起きた場合、改修費用を保証する制度です。
保証期間
一般的に 10年 が主流。長期優良住宅や追加プランで 20年 まで延長できる商品も登場しています。
対象範囲
地盤沈下に起因する建物の傾き・ひび割れ・基礎クラックなどの補修費、仮住まい費用が含まれることも。
ポイント
地盤保証は「地盤調査+適切な工事」をセットで行った場合にのみ付帯できます。調査をせずに契約することはできません。
比較項目 | 地盤保証 | 住宅瑕疵保険(※) |
---|---|---|
主な対象 | 地盤に起因する不同沈下・建物被害 | 基礎・柱・屋根など構造耐力上主要部分の瑕疵 |
保証期間 | 10〜20年 | 10年(法定) |
加入条件 | 地盤調査・必要な改良工事の実施 | 住宅事業者が保険法人と契約 |
負担者 | 住宅会社または施主 | 住宅会社(保険料を価格に内包) |
※住宅瑕疵担保責任保険。新築住宅には加入が義務化されています。
結論
瑕疵保険は「建物そのもの」の欠陥が対象で、地盤に対しては部分的。不同沈下リスクまでカバーしたいなら 地盤保証を別途付帯 するのが安心です。
保証限度額を確認
修復工事には数百万円〜数千万円かかるケースも。限度額2,000万円以上が目安。
免責金額・免責事由
地震・津波・造成工事中の事故などは対象外となる場合があります。
地盤調査会社と保証会社の連携
調査→改良→保証までワンストップで行える体制だと、トラブル時の対応がスムーズ。
第三者機関の品質管理
工事写真のクラウド管理や現場立会い検査など“エビデンス”が残る体制かどうかを要チェック。
20年保証プラン
長期優良住宅の普及に合わせ、保証期間を20年に延長できる商品が増加。途中で転売しても安心感が資産価値を高めると好評です。
IoT傾斜センサー
建物内部に傾斜センサーを設置し、微小な沈下をリアルタイムで監視。異常を早期検知し、補修費が膨らむ前に対処できるサービスも登場しています。
サブスク型メンテナンス
保証と同時に、5年ごとの地盤再調査・基礎点検を定額で受けられるサブスクプランが人気。将来の修繕費を平準化できるメリットがあります。
事例 | トラブル内容 | 修復費用 | 保証金額 | 自己負担 |
---|---|---|---|---|
A様邸(築3年) | 床が1.5cm傾斜、基礎に幅0.4mmのクラック | 約350万円 | 340万円 | 10万円 |
B様邸(築8年) | 屋外給排水管の破損に伴う不同沈下 | 約120万円 | 対象外 | 120万円 |
考察
A様は地盤保証加入により、ほぼ全額が保証対象。B様は給排水管破損が原因で保証対象外となり、自己負担が発生。
→ 「土中設備の破損補償特約」の有無が明暗を分けました。加入時には 特約範囲まで要確認 です。
地盤トラブルは発生頻度こそ高くありませんが、一度起きると修復費は高額・工期も長期化しがちです。
新築時は必ず地盤保証を検討し、内容を細部までチェック
中古住宅でも再調査+リフォーム瑕疵保険の付帯 を視野に入れる
IoTモニタリングや長期メンテ契約 を賢く組み合わせ、早期発見・早期対処で“掛け捨てにならない保証”を実現
千代田技建では、保証会社との連携やセンサー監視サービスの導入支援も行っています。気になる方はお気軽にご相談ください。
次回は 「気候変動時代の地盤リスク ― 大雨・台風・猛暑への備え」 をテーマに、近年増えている極端気象が地盤に与える影響と、その対策を解説します。どうぞお楽しみに!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
地盤・基礎に関するお悩みは、千代田技建までお気軽にお問い合わせください。