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気候変動時代の地盤リスク ― 大雨・台風・猛暑への備え

皆さん、こんにちは!
千代田技建株式会社、ブログ更新担当の岡です。

前回は「地盤保証と保険の活用術」で、“万一”に備える安心プランをご紹介しました。
今回はシリーズ第 ○回として、「気候変動時代の地盤リスク ― 大雨・台風・猛暑への備え」 をテーマにお届けします。近年は極端気象が常態化し、従来よりも多角的な地盤対策が求められています。住宅や施設を長く安全に守るため、最新の知見と実践的な備えを確認しておきましょう。


1.増える極端気象と地盤被害の実情

  • 集中豪雨・線状降水帯の頻発
     短時間で月間雨量を超える豪雨が発生し、表層崩壊や液状化リスクが急上昇。

  • 大型台風の長寿命化
     暴風と長雨のダブルパンチで斜面すべり・宅地擁壁の破損事例が増加。

  • 猛暑・干ばつの影響
     粘土質地盤の乾燥収縮による不同沈下、舗装の熱膨張ひび割れが顕在化。

ポイント
同じ地域・同じ敷地でも、季節や年によって「過剰な水」と「極端な乾燥」の両方に晒されるのが現在のリスク構図です。


2.気象イベント別 地盤へのメカニズム

集中豪雨・長雨

  1. 飽和浸透 → 土粒子の結合力低下

  2. 地下水位上昇 → 浮力増大で支持力ダウン

  3. 供試体排水不全 → 斜面内部に間隙水圧が滞留

台風による暴風降雨

  1. 表層土の洗堀

  2. 擁壁背面への浸水 → 土圧急増

  3. 強風振動 → 緩んだ地盤のせん断破壊誘発

猛暑・干ばつ

  1. 粘土の乾燥収縮 → ひび割れネットワーク形成

  2. 反復収縮膨張 → 基礎周縁で段差沈下

  3. 熱応力集中 → コンクリートクラック進行


3.住宅・施設で取り組むべき具体策

リスク 早期対策 備え・設備改修
豪雨・長雨 ◎雨どい・側溝を常時清掃 透水・排水性改良材による表層改良
台風 ◎擁壁背面の排水パイプ点検 アンカー補強法面緑化で土留め強化
猛暑・干ばつ ◎基礎周りの日陰・散水 ひび割れ封止材注入、遮熱塗装
  • 上流側の流入水マネジメント
     隣地・道路からの越流水を防ぐ溝切りや集水桝増設が効果的です。

  • グリーンインフラの活用
     雨庭(レインガーデン)や多孔質舗装を敷地に組み込み、雨水を一時貯留して流出ピークを緩和。


4.業界最新トレンド

  1. 水位センシング×クラウド通知
     浅井戸に設置したIoT水位計で地下水の急上昇を監視し、異常時にはスマホへアラート。

  2. AI降雨予測と土砂災害シミュレーション
     気象庁の高解像度データを機械学習に組み込み、ピンポイントで崩壊確率を推定。

  3. 脱セメント型改良材
     バイオ炭・石灰副産物を混合した低CO₂ 固化材が、環境配慮と透水性向上を同時実現。


5.施主・管理者が今すぐできるチェックリスト

  • □ 雨どい・排水マスは詰まっていないか

  • □ 擁壁背面に水抜き穴はあるか/塞がれていないか

  • □ 基礎外周に“パキッ”とした新しいクラックはないか

  • □ 床下換気口や基礎パッキンが土で埋もれていないか

  • □ 猛暑期に庭土が大きくひび割れていないか

異常を発見したら
早期に専門会社へ相談し、簡易計測(レーザー水平器・傾斜計)で数値化することが重要です。


6.まとめ

気候変動に伴う極端気象は、これまで安全とされてきた土地にも新たな地盤リスクをもたらします。

  • 予防保全:排水・換気・日常点検で“小さな兆候”を見逃さない

  • 構造的対策:表層改良・法面補強・ひび割れ補修を適切なタイミングで導入

  • デジタル監視:IoTセンシングとAIシミュレーションで早期警戒網を構築

千代田技建では、豪雨・猛暑両方に対応した「ハイブリッド地盤対策パッケージ」をご提案しています。ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。


次回予告

次回は 「ICTとAIで変わる地盤モニタリング最前線」 をテーマに、ドローン測量・クラウド点検・デジタルツイン活用事例を深掘りします。どうぞお楽しみに!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
地盤・基礎に関するご相談は、千代田技建までお気軽にどうぞ。